ボールや得点板を片づけに体育倉庫へ向かう。


ボールのかごを押しながら、理生がいぶかしげに言った。


「駆って本気で今宵ちゃんのこと好きなの?」

「さぁ?」

「なんだそれ。本気っぽいような気がするなあ……ハマり方が、なんか」


もごもごと語尾が小さくなっていく理生。


「言いたいことあんならはっきり言えば?」


「……だってもう誰も好きにならないんだろ?だってあの子が……。いや、まぁいいや!」


言葉を飲み込んでから、にっと口角を上げる理生。


全然飲み込み切れてない。
お前の言いたかったこと、だいたい察しついたから。


「……かわいそ。今宵ちゃん」


「人の彼女、憐れんでんじゃねーよ」


体育倉庫に備品を片づけて扉を閉めた。