見惚れている間に、彼は手際よく片付けてしまっていた。
「手、貸して?」
ふいに引っ張られた手のひらは、彼のハンカチが優しく拭っていて。
……童話に出てくる王子様みたい。
だけどちょっと恥ずかしいというか……!
「あ、あの。大丈夫なので……!」
「名前なんていうの?」
彼は、焦るあたしなんておかまいなしに問う。
「え……と、衣川 今宵です」
「ふうん。俺は涼元 駆。駆でいいよ」
いつの間にか手はすっかり綺麗になっていて。
「ありがとうございます……」
あたしの買ってきた代わりのお昼ご飯を受け取った駆くんはにこっと笑ってくれてどきどきした。
この時はまだホンモノの駆くんのこと、知らなかった。
……ホンモノの駆くんならドキドキなんかじゃすまないってことも。
「手、貸して?」
ふいに引っ張られた手のひらは、彼のハンカチが優しく拭っていて。
……童話に出てくる王子様みたい。
だけどちょっと恥ずかしいというか……!
「あ、あの。大丈夫なので……!」
「名前なんていうの?」
彼は、焦るあたしなんておかまいなしに問う。
「え……と、衣川 今宵です」
「ふうん。俺は涼元 駆。駆でいいよ」
いつの間にか手はすっかり綺麗になっていて。
「ありがとうございます……」
あたしの買ってきた代わりのお昼ご飯を受け取った駆くんはにこっと笑ってくれてどきどきした。
この時はまだホンモノの駆くんのこと、知らなかった。
……ホンモノの駆くんならドキドキなんかじゃすまないってことも。



