本当に駆くんに振り回されてばかりだ。

付き合うってもっとフェアじゃないの?


あたしばっかりドキドキするのなんか、ぜったい嫌なのに。



「で?ホントは何したかったの?」


「わかってるくせに……」


「えー?わかんないよ。教えて?」


にや。
駆くんのばか……。


「……ぎゅって……しようと思ったの」



もうはずかしい……。

消えそうな声で言ったら、駆くんは笑いながら問うんだ。


「なんで?」


なんでって。

いつも駆くんは理由もなくしてくるのに、あたしがするのには理由がいるの?


本当にフェアじゃない……。


でもあたしはそんな文句の言い方もわからないし。


「そしたら駆くんは……ドキドキするのか、知りたかったの」


そう正直に白状した。


数秒の沈黙ののち、駆くんは、プッと噴き出した。


……えぇ?


「……なんで笑うの……駆くんひどい」


眉間にしわをよせて、怒った表情をして虚勢をはってみたけど、本当は泣きたいよ……。



そんなあたしの顔をちらっと横目で見て、駆くんは口角を上げた。



「俺だってドキドキするよ」