「早くしないと売り切れるよ!」
「ちょっとどいてー!」
そんな声が後ろから聞こえきたって思った一瞬のこと。
「きゃ……っ!」
廊下を走り去った生徒にドンっと弾き飛ばされたあたしは、
バチンと壁にぶつかって、
フラッと跳ね返って、
ふたたび人混みにドーンと跳ね飛ばされて、
とどめに、人様のお弁当箱へとゴールした。
――ガッシャ―ン。
足元に散らばるのは、色とりどりの野菜。オムライス……それから、いちご。
ひっくり返った丸いお弁当箱が転がっていく。
真っ青になった。
「ご、ごめんなさい……!!」
渡り廊下のベンチで友達とお弁当を食べていたであろう男子は、軽くなった手元を見てあ然としていて……。



