「何したの……?」


首元に手を当てるあたしは、教室後ろに備え付けられた鏡の前まで連れて行かれた。


鏡にうつる、あたしと駆くん。


あたしの後ろに立つ駆くんの指先が、あたしの首元をさしている。



「これ、俺のものって印」


「え……?」


—―キスマーク。



その言葉で、やっとこの赤いものの意味が分かった。


聞いたことは、あった……。

でもこんなふうにつけて、こんなふうな見た目になるなんて知らなくて……。


顔が熱いよ……。


鏡にうつる自分を駆くんに見られたくなくて、深くうつむく。


「今宵はその見た目でさらに純粋っぽいから男が寄って来るんだよ」


むかつく、とでもいいたげに眉間に皺を寄せて、駆くんの腕があたしを後ろからはがいじめするみたいにぎゅっと抱きしめた。



「男の幻想なんか潰してやれよ。お前は俺のなんだから」