「衣川さん……まじで駆と付き合ってんの!?」


「あの……二人とも知り合いなの?」


「同中」


そう答えた駆くんにかぶせるように金髪男子が言った。


「やめとけって……衣川さん。まじでこいつだけはやめた方がいい。絶対に痛い目にあう」


「……え?」


「お前なんでそんなこと言うわけ」


金髪男子に平気そうに笑っている駆くん。


あたしは床をみつめたまま、おそるおそる声を出した。


「痛い目って……たとえば?」


「んー……。いや、そもそも駆、衣川さんのこと好きなの?」


「……お前にカンケーなくね?行こうぜ今宵。お前まじで二度と今宵に手ぇ出すなよ」


そう言った駆くんに、あきらかに彼はひるんでいた。



あんな怖そうな人にも怖気付かないどころか、逆に怯ませてしまうなんて。


……駆くんって
どんなひとなんだろう……。



「……今宵?あいつにへんなことされなかった?」

「え……っ、うん」


突然の優しいトーンに、戸惑いながらうなずいた。


「ならよかった。でも今宵はほんとモテんね。ここ、首輪でもつけときたい」


にやりと笑う駆くん。
その指先があたしの首すじをなぞった。


「……っん。やめて……っ」


なんでこういうことするの……!


首を竦めて、ぶるっと体を震わせたあたしを駆くんの目が楽しそうに見ている。


「今宵って、俺のスイッチすぐ入れんね?」