駆くんの両手があたしの体を引き寄せて、ぎゅーっと抱きしめた。



……こ、こんなに公衆の面前で、友達の前で……何を考えてるの!?


「また駆は。人前でそういうことしてやるなよ」


理生くんも止めに入ったのに、
駆くんはおかまいなし。


「だって俺、このこじんまりしたサイズ感、すげー好きだもん」


「やっ……離して」


「抱きしめられるの嫌い?」


そういう話をしてるんじゃないよ……っ。


「なにしてんのあの二人!?」
「見てあれ!」
「姫と王子が……やっば!」


痛いくらい視線が集まっていて。

駆くんの胸に顔を隠すしかできることはない……。

信じられないくらい心臓が速く動いて、苦しいよ。


目をぎゅっと閉じて、呼吸を整えるだけの精一杯のあたしに、駆くんが小さく囁いた。


「こんなドキドキしてんのに、意地はってんじゃねーよ」


意地悪で甘い声が、あたしの感覚を鈍らせる。