身を縮めていると、


「今宵ちゃん、すげー心配したんだよ!」


そうK高生がずいっと前に出てきた。



「大丈夫だった? 怖かったでしょ」



あたしの髪に触れる手。
つい、逃げるように首をすくめる。


「今宵ちゃん、その男誰?」


「そろそろ店戻ろ!」


K高生があたしの腕を引いたとき、頭からつま先まで不機嫌な駆くんはあたしの肩を抱いた。



「今宵は誰にも渡さねーよ。……つーか邪魔すんな」



あまりのドス黒い迫力にK高生が声を失っていると、駆くんのこぶしがK高生のみぞおちに伸びた。



「ひぃっ」


「……今宵に触んな」




K高生の手のひらに、駆くんのこぶしで握りつぶされた一万円札がぽとんと落ちた。