【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。


「じゃあ……あたしのことちゃんと好きで付き合ってた?」



「はぁ? 当たり前じゃん」



何言ってんの?とでも言いたげな声色。




「そっか……」



安心しきったあたしの声に、駆くんは疑うような声で言う。




「え? こんだけ態度に出してて、そんなこと思ってたわけ? もしかして音羽に何か吹き込まれた?」



「ちがうよ」


「じゃあなに。疑うようなきっかけあった?」



それは……なんだったっけ。


あ、そうだ。



「駆くんが急にあたしとあんまり話してくれなくなったから……」




というか、あんまり触れてくれなくなったから。



「それは緊張っていうやつじゃねーの」



ぶっきらぼうな声。


って、……緊張?


「駆くんが緊張するの……?」


「人をなんだと思ってんだよ」


「だって……でも今まではそんなことなかったから」



「俺、今宵にめちゃくちゃハマってて、自分でもやべーなって思ってた時に今宵のスマホみて、ほかの男一切見ない潔さに刺さりすぎて……そんな惚れなおすだろ」



ぎゅうっと再び抱きしめられた。