もう逃がさないと言いたげな力であたしを抱きしめる、駆くん。 ねぇ、それ、ほんとう? 「……あたしと付き合ったのって、“不純な動機”だったんだよね?」 「え? なにそれ、音羽がなんかいったわけ?」 「実は、音羽くんと駆くんが話してた時、あたし教卓に隠れてたの」 「はぁ?」 「ごめんなさい……」 駆くんは何か言おうと息を吸ったけど、全部呆れたようなため息に変わっていた。 「不純な動機だよ。それは認める」 ずきっと胸が痛んだ。 「……そっか」