あたしは飛びつくように電話に出た。
「もしもし……!」
『え。勢いすご』
「あ、の……」
声が聞こえただけで涙があふれてくる。
なんで?
「なんで電話くれたの……?」
『お前がいつまでも連絡してこないからだろ。……何してんのかなぁって思うじゃん』
気まずそうな声がスマホ越しに聞こえる。
ごほんと一度咳払いが聞こえた。
『で、今なにしてた?』
「閉じ込められてる……」
『え? なに?』
「お店のドアノブが外れちゃって出られないの」
『はぁ!? 何のんきに言ってんの? 大丈夫なのかよ』
「ううん……ちょっと、困ってる」
『ばぁか! 早く言えよ! なんでそうなんだよ』
びくっとした。だってあんまりに声が大きいから。



