先生、と呼ぶ声におもいっきりからかわれている。


「そんなの……」


モゴモゴと口の中で言い返すあたしの声は届くわけもなく、会話は駆くんのペースで進められていく。


「俺と付き合ったら今宵にもメリットあると思うよ。告られずにすむし」

……うん。

「あと男にも免疫つけられる」

……うん。


「てかさ?世の中の半分は男で構成されてるわけ。お前男慣れしなかったら生きていけないよ」


「……そ、そうなんだ」


駆くんはくすくすと笑って続けた。


「それに心配いらないって。たぶん今宵は俺のことすぐ好きになるよ」


まるで、そういう女子しか知らないと言いたげな自信ある声。