「本当になにもないよ」 「……あっそ」 そう言って、駆くんはあたしの後ろ頭を片手で抑えた。 ……キス? 近づくと感じたほんの一瞬、光のように頭の中を巡った言葉。 ――欲を満たすため。 そんなの 「やだ……っ」 バシンっと小路に音が響いた。