どのくらい泣いたんだろう。




泣きはらした顔で低い西日の差す教室に戻ると、あたしと音羽くんのかばんだけがぽつんと残っていた。



“もう誰も本気で好きになんかならない”



その言葉がずっと、頭の中を占領してる。



付き合おうって言われた時だって、全然本気じゃなかったのに。



『あたしのこと好きじゃないよね?』

『それなりに好きなんじゃない?』





『じゃあ楽しい恋の仕方教えてよ。センセ?』



最初っから。彼は、あたしをからかってたのに……。


許せないほど憎くて、

だけど忘れられない人がいたなんて。




どうして本気で好きになっちゃったんだろう。




周りにあんなに“本気にならない方がいい”って止められていたのに。



あたしって、ばか……。