「……ごめん」と、時折謝罪する声が聞こえてくる。
「謝らないで。なんで謝るの? 音羽くん何もしてない……」
「こんな手使わなきゃよかったでしょ?」
――知りたくなかったでしょ。
知りたくなかった。
だったら、いつだってあたしを助けてくれた彼は、なんだったんだろう。
駆くんはあたしに何をもとめていたんだろう。
「衣川さん、もう……やめたら?」
消えそうな声が教卓の内側まで届いた。
……どうやってやめるの?
もう、こんなに好きなのに。
「あたしは、駆くんがすきだから……。好きになってもらえるようにもっと頑張る」
だってそれしか道なんてない。
「……そっか。はは、女子は強いな」



