【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。

そんなこと言わないで……。
だってどうしようもないんだもん。



あたしはふいっと顔を背けて抵抗する。



駆くんはあたしの体をそっと離した。



軽くなった体に残ったのは、信じられないほど速い心臓の音と、あつすぎるくらいの体温……。



「こっち向いて、その顔見せてよ。どじっこ覗き魔の今宵ちゃん」



「―――っ」




頬をつーっと伝う指が耳たぶに触れた。




「か…っ、からかわないで……」


あたし、睨んだのに……。


「男ってそういう顔見せられたら逆にそそられるって知らない?」



わかんないよ、全部わかんないから、もうその笑顔みせないで……おねがい。




「そういうのは、彼女とするものだよ……」