「不純な動機で衣川さんと付き合ったわけじゃないよね?」
「不純?」
「あるだろ。本気か、不純かって。不純ってのはたとえば“付き合うなら一番可愛い子”みたいな、そういう動機」
「……はは。なんだそれ。つーかお前なんでそれ知ってんの? まじでストーカーかよ」
「真面目に答えてよ」
「えー、不純ってよくわかんないなぁ」
しらを切るつもりなのかな、駆くんは答える気なんてなさそうだ。
「例えば俺のは。中学の時、衣川さんと知り合って、ずっとまた会いたいって思ってたら、高校でも同じクラスどころか隣の席になって……すごいなって思って。そういう“本気の好き”なんだけど」
……え?
教卓の中で、目を見開いた。
なんて言った……?
スキ?ほんきですき?
両手で口を覆った。
いや、ちがうよね。冗談だ、きっと。
そんな混乱の中、駆くんの声が聞こえきた。



