ほとんど眠れなかった。



あたしは登校してすぐ、1組から順番に教室を覗いている。



5組の教室にたどり着いたとき、やっと彼を見つけた。



金髪が目印。



ごくっと、唾をのみこんだ。



男の人、あんなにガタイがよくて、不良っぽくて……こわもての彼。
駆くんと同じ中学出身って言ってたあの人。



普段なら絶対に話しかけられない。



でも聞きたいことがあるの。


じりっと地面を踏みしめる。



……勇気ださなきゃ。



震える手のひらはこんなに汗ばんでいて、心臓もうるさいし、全身が怖いっていっていても。



でもあたし、駆くんのことが知りたいの。