「駆ー!お前このあとカラオケどーすんの?」
男子の輪の中から理生くんが声を投げかけてきた。
「えーどうしようかな。ちょっと待って」
そう返した駆くんはなぜかあたしに問いかける。
「放課後って暇?」
「家族で外食するって言ってたから早めに帰る予定だけど……」
「ふーん。じゃあ家まで送る」
「え?」
「理生たちー、俺今日不参加で」
思わず顔を見上げた。
「なんで? カラオケ行って来たら?」
「送られんの嫌?」
そう聞く、駆くんの表情が切なそうで驚いた。
「……なんで?」
この声はあまりに小さかったからか、届かなかった。
「嫌じゃないけど……」
「ん、じゃあかえろーぜ」
優しくあたしの手を包む。



