「……か、駆く……」 真っ赤な顔で、何か抗議のひとつでもしようとしているのに。 バクバク言う心臓とか、未だ混乱する頭とか、唇の感触とか、甘い…味とか、 そういうのでいっぱいで声にならない。 そんなあたしを駆くんはやっぱり笑うんだ。 「今宵、ちゃんと覚えておいて。俺が世界で一番きらいなのは音羽」 「え? じゃあ音羽くんからもらったのが嫌で? その、さっきみたいな……」 「そうそう。だから今宵の口に移した。消毒済みのやつを」 そんな生々しく言わないで……。