飴の包みの両端をつまんで引いたけれどくっついて開かない。



「……溶けちゃってる」



パリ、パリとやっと開けた包みを待ちわびている駆くんの口元に寄せると。



駆くんの白い歯が、桃色の飴をとらえた。


パリと紙からはがれて、口の中に消える飴玉。



「……うま」



たったこれだけであたしはどきどきして仕方ないのに……。



駆くんは空を見上げて眩しさに目を細めながら、のんきに口の中で飴を転がしている。



いつだってこう。


駆くんのペースで時は流れる。