――着信中 涼元駆


どきんと心臓が鳴ると同時にあふれ出す、安堵感……。


『もしもし? 迷ったって、ほかの人は?』


「ひとりになっちゃって……」


『へぇ? なんの建物があんの?』


「えっと、住宅街で……なにも目印が……。あ、オレンジっぽい家がある。にわとりのかざぐるまが玄関先で回ってる」


『ざっくりだなぁー。探しいくから、そこ動くなよ?』


「え……? 授業は?」


ってそもそも、なんで授業中に電話してるの!?


「ううん、大丈夫! 授業戻って……! ごめん何にも考えずにメッセージ送っちゃって……!」


『何言ってんの。行くから。いい子で待ってろよ?』