【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。

桜を散らす風がふわぁっと吹き抜けて、黒い髪を揺らす。


……わぁ。やっぱり爽やか……。

こんな人が……本当にあんなことしてたの?


「そんな真っ赤な顔して俺たちのこと見てたんだ?」


「み、見てないよ……」



あ、あれ?

なんでこんなに見え透いた嘘ついちゃったんだろう?



「えー、そんな嘘つく?」


くつくつと笑う駆くん。
もしかして、邪魔したこと怒ってないのかな。



そう思った瞬間、あたしの頭に彼の手のひらが落ちてきた。




「よくも邪魔してくれたよね?」




顔を覗き込む彼に息を飲む。