【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。

駆くんのおかげで、無事、読みたかった本を買うことができた。


読むの楽しみだなぁ……と書店の袋を胸に抱く。


「嬉しそ。そんな面白いのそれ?」


「うん。今度一巻貸そうか?魔法使いの話だけど、男の子が読んでも面白いと思う」


「つーか、そもそもそれをすすめてきたのが男なんだろ?」


あたしの目に映るのは不機嫌そうな彼の横顔。


やきもち、かな……?
だとしたらちょっと嬉しい気もするけど、やっぱりモヤモヤさせたくなんかないよ。



「あのね、あたしその人の名前も知らないくらい、今何も関わりないから」


「ああ? わかってるよ。そんなくだんないことで怒んないから」


「でも……」


不機嫌に見えたのに。


「だって今宵、俺のことめちゃくちゃ好きじゃん?」


「……っ、だからぁ……。そういうこと言わないでよ」


「えー? じゃあ違うってこと? 俺の勘違い?」



もう、駆くんは。
すぐ、ペースを持っていく。


「……好、き」


「聞こえない」


「……っ。大、好き」


あたしの小さな声が聞こえたのか、くつくつと笑い肩を震わす駆くん。


「笑うなんてひどい……」


「しょげんな。嬉しいからじゃん」


ーー俺も今宵のこと大好き。



そんな声を耳元で落とされるあたしの気持ち、駆くんには全部お見通し。


満足げに笑みを浮かべて、あたしの手を引いて歩く。