もう……。と呟いてからまた歩き始める。


あたしなんかより、駆くんだよ。
道行く女の子たちの目こそ、駆くんを追っている。気づいてないの?


あたしも気づけばこうして目が吸い寄せられているんだし、道行く女の子たちの気持ちは、わかるけど……。



「ん?」


きょとんとあたしに目を向けた駆くんにどきっとする。


「ううん、なんでもない」


「嘘つけ。見惚れてたんじゃねーの?」


「……、見惚れてなんか」


「ないの?」



あたしの気持ちなんか見透かしてますって様子で、余裕ありげに問う彼に、降参。



「……だって、目がいっちゃうんだもん」


「……っプ。ほんとお前は……」


呆れかえった、だけど愛しそうな表情に目を奪われた。


「いちいち俺のツボついてくるよね?」