「イケメンだなんてさすが今宵チャンだねぇ! 本当に芸能人みたいに可愛いもんね!」


モチちゃんの明るい声がここに響いて、気まずくなりかけた空気はどこかに言ったけど……。


「そんなことないから……」


首を振りながら徐々に俯くあたしを、モチさんとまろやんは笑っていた。


駆くんだけは一切笑わず、静かに聞いたんだ。


「もしかしてその男にオススメされた本の続編をさっき買いに行こうとした?」


「え……あぁ、うん」


「へぇー。それはさぞおもしろい本なんだろうな」


「とげっぽい……」


「……うっせ」


コーラを一気に吸いあげる駆くん。


ちょっとだけさっきのあたしと重なって見える。


「……駆くん、もしかしてヤキモチ?」


お店のBGMにかき消されそうなほど、小さい声で聞いてみた。


「好きな女の子に男の影あったら、妬くんじゃねーの」


その尖がった声に、あたしの心臓は簡単に高鳴る。


片思い中(、、、、)だけどな。って、最後まで設定貫けよ? 何その真っ赤な顔?」



こつっと肘で小突かれた。

駆くんは、あきれっぽく頬杖をついて、唇に弧を描いた。



「俺のこと大好きなの駄々洩れなんだよ」



もう…….駆くんにはかなわない。