その代わり、呼吸するように自然と会話を引っ張っていくのは、駆くん。


「今宵って中学の時、浮いた話とかあったの?」

駆くんはあたしとまろやんに問う。

「ないよね?」とまろやんに即答されてしまったあたしって……。


「うん……」


「今宵は合コンみたいなものにも一切来なかったし、今宵が男の子と喋ったってまずないもんね。先生くらい?」



うう……。
少しくらいあったらよかったと思っちゃうのは、中学生の駆くんにはそんな話、語り切れないほどあっただろうから。


いじけかけたとき、「あ!!」とまろやんが片手を口に当てた。


全員の視線がまろやんに移る。


「一人だけいたじゃん!」


興奮気味にさされた人差し指。



目を瞬かせて考えるけど思い当たらない。


「だれ?」