「それ、中学んときもらったもん」


突如近づいた気配。鼓膜を震わせた声にビクッと肩が震える。


「そうなんだ……。人気者だね、駆くん」


「そんなのいいから」


駆くんの手があたしの手首を包み、ふわりと引かれるまま後ろへ下がると、背中に駆くんの胸が当たった。


「写真よりホンモノ見ろよ?」


後ろからすっぽりと抱きしめられたあたしは、どうすることもできずされるがまま。


こうやってすぐに流されるあたしをたのしんでいるのか、
駆くんは笑いをこらえきれず肩を揺らす。


「はは……っ、ねぇ、何して遊ぼっか?」


「え……と、」


そ、そんな耳元で言わないでほしい。

体じゅうがしびれるような緊張で満たされていく。


「今宵、聞いてんの?」


うう、聞いてるよ。

でも思いつかないの。というより、知らないの。


「あたし……男の子と遊んだことってなくて……。なにしていいかわかんない……」


情けない声はしりすぼみになって弱弱しく消えていく。