「……」

「それに、皆んながみんな、邪な考えを持ってる訳じゃないでしょう」



由良くんは、考えが極端過ぎるんだよ。



「由良くんだって、そうでしょう?」



そう言った瞬間、由良くんが動いた。

私の腕を引いて、玄関の扉に背中を押しつける。

ドサッと、スクールバッグが地面に落ちた。

一瞬のことで、私の頭の中は真っ白だった。




「っ、由良くん、離して」




左手首が扉に押しつけられ、右手首は由良くんの顔の横でギュッと掴まれている。

痛い。



「俺だって、持ってる」



その小さな声に、私は口をつぐんだ。



「ただ、それを強引に行動に移すのは良くないことは分かってる」