廊下を歩きながらそんなことを考える。



だって、由良くんは小さい頃からモテてた。

バレンタインデーにはチョコをたくさんもらってきてた。


告白もされてた。



今さら、何も……。



いつのまにか着いていた保健室。

その扉を開けようと手を伸ばした時、少し隙間があいていることに気づいた。




「まだ気持ち悪い?」




そして、中から聞こえてきた声にハッとする。


この声、由良くん……?



本当は、覗き見なんてダメなことなんだろうけど。

気にせずわたしも中に入れば良かったんだろうけど。




「ん……ごめんね、由良くん」




ソファの背にもたれている具合が悪そうな女子。

その女子の背中を優しくさする由良くん。