思うに、由良くんと幼なじみであるわたしの特権は、




「……なにしてんだよ」

「やぁ、由良くん。おかえり。バイトお疲れ」





由良くんの部屋に自由に入れることだ。


制服姿で少し疲れ気味の由良くんは、ドアを開けてわたしの顔を見るなりため息をついた。

対してわたしは、お風呂上がりの部屋着姿で由良くんのベッドに寝転んでいた。


スマホで時計を確認すると、夜の23時になったばかりだった。




「バイトの日だとこんな遅い時間に家に着くんだね。疲れたでしょう」

「お前、なんでいるんだよ」

「由良くんのお母さんが入れてくれたよ」

「あー……くそ」

「口が悪いなぁ」




勉強机にカバンをドサっと置いて、そのままイスに座った由良くんは、「帰れよ」とそう言った。