「私のこと、見てくれてたんだ」
「見てるよ。また倒れられたら困る」
その言葉だけで、十分だった。
それだけで、私の気持ちは報われる。
「私、由良くんのことが好きなんだ」
人に想いを伝えるのは、とても緊張する。
……司も、同じ気持ちだったのかな。
「ごめん」と、由良くんはそう言った。
分かっていた。
だって、由良くんは最初から佐々木さんのことしか見ていなかったから。
今日一日中、由良くんはずっと上の空だった。
休んでいる佐々木さんのことが心配なんだということは、すぐに分かった。
「日誌、ありがとう。それじゃあ」
カバンを持って教室を出た由良くんを見送って、
私ははぁー、と息を吐いた。

