「今日、神田の幼なじみお休みだよ」
1限が終わった後の休憩時間。
すれ違いざまにそう言うと、彼女は立ち止まって「え」と呟いた。
人通りの多い廊下で、
急に立ち止まったら危ない。
前から歩いてくる男子生徒にぶつかる直前に、
俺は世菜の腕を引き寄せた。
「あ、ごめん」
そう言って、世菜は俺から離れる。
あぁやって突然体に触れても、引き寄せても、
顔色1つ変わらない。
"幼なじみ"だから。
「ほんとだよ」
冗談ぽくそう返すと、"しょうがないな"とでも言うかのように世菜は笑った。
「佐々木さん、休みなんだ。昨日は元気そうだったのに……」
昨日。