隣のインターホンを押すと、しばらくして出てきたのは、アイツのお母さんだった。
「あら、由良くん久しぶりー。結佳に会いにきてくれたの?」
こうやって笑う顔は、アイツにそっくりで。
親子だな、としみじみ思う。
「アイツ……結佳、そんなに具合悪いの?」
「そうねぇ、熱も中々下がらなくて。
ほら、昔っから風邪引くと長引くでしょ?あの子」
ふと、小さい頃を思い出す。
アイツが風邪を引くと、決まって俺はアイツの手をずっと握っていた。
親に連れて帰られるまで、ずっと。
「そうだ。悪いんだけど、買い物してる間結佳のこと看ててくれない?」
「え、でも」
「あの子、熱で弱ってる時に1人で家にいるのは嫌みたいなの」

