こんな時でも、アイツのことを考えている自分に。


俺の気持ちに応えようとしないアイツのことを、
俺はこの期に及んでもまだ、諦め切れていない。



「萩原……ごめん」



そう言うと、「うん」と頷く。

「分かってたから」と言う。



「あの時も、今も、ありがとう。由良くん」



萩原は、柔らかく笑った。



「この日誌、私が職員室に持っていくよ。
学校休んでる佐々木さんのことが気になるんでしょう?」

「え、なんで、」

「私の幼なじみから聞いたの。佐々木さんと同じクラスだから。
それと……」



そう言いながら、萩原は机の上の日誌に手を伸ばした。



「前にも言ったけど、由良くんは佐々木さんのことになると分かりやすいから」