何を渋ってるのよ、私っ!
勢いに任せて由良くんの家のインターホンを押す。
それに、由良くんのお母さんもいる時間だし、別に2人きりってわけでもないし……
って、だからいいんだって気にしなくて!
また首を振る。
すると、ガチャリと音を立てて玄関の扉が開いた。
慌てて「あっ、こんばんはー……」なんて言いかけて、ギョッとする。
「なに」
お母さんじゃなくて、スウェット姿の由良くんが出てきたんだから、そりゃあびっくりする。
い、いつもなら由良くんのお母さんがいるはずなのに。
家の中は静かで、だから由良くんだけしかいないということが嫌でも分かった。
由良くんから微かにシャンプーの匂いがする。
お風呂上がりなんだ。

