……いない?

キョロキョロと探しても、由良くんの姿はない。


可笑しいなぁ、と首を捻っていると後ろから声がかかった。



「なに」



という短い言葉だったけれど、すぐに由良くんだと分かった。

パッと振り向くと、少し不機嫌そうな顔でやっぱりそこに立っていた。



「やぁ、由良くん」

「……」

「購買に行ってたの?それともトイレ?」

「……用件は」

「冷たいなぁ」



はぁ、とため息をつきながらカップケーキを由良くんの前に差し出した。



「調理実習で作ったの。特別に由良くんにあげる」



ラッピングされたカップケーキと私を交互に見て、由良くんは口を開いた。



「特別に?」