「えーっと、ケガは大丈夫?佐々木さん」




私の手にある氷のうを見て、萩原さんは心配そうにそう聞いてきた。


竹内くんのいなくなった保健室で、
萩原さんと2人きり。

由良くんのことが好きな、萩原さんと。


なぜか緊張してしまう。




「あ、うん、大丈夫。ていうか、私の名前どうして……」

「知ってるよー。同じ球技委員だし」




クスクスと笑う萩原さんは、どこか竹内くんと雰囲気が似ている。

柔らかくて、暖かい。
そういう雰囲気。



「それに、由良くんの幼なじみだもん。有名だよね」



座っていたソファの隣に腰掛けて、また笑う。

由良くんの名前が出てきて、私は無意識に身構えた。