その瞬間、保健室の扉がガラッと開いた。



「司(ツカサ)、お待たせ。交代の時間だよ」



竹内くんの下の名前を呼びながら入ってきた女子に、私は目を見開いた。


丸くて大きな瞳、肩まで伸びた髪は緩く巻かれている。


……いつかの時、由良くんと一緒に保健室にいたあの女の子だった。




「世菜(セイナ)」



『萩原』と、由良くんは呼んでいた。


由良くんと同じクラスで、同じ球技委員。

竹内くんの幼なじみで、この子は由良くんが、好き。




「じゃあ、俺は戻るよ」




ベッドから立ち上がった竹内くんは




「後悔しないように頑張ろうね、お互いに」




私の耳元でそう囁いた。