いっつもわたしばっかり。
この学校のどの人よりも、わたしは由良くんと一緒にいる時間は長いはずなのに。
どうして今の由良くんのこと何にも知らないんだろう。
「……わたし、ちょっと聞いてくる」
「いいけど、ちゃんと授業には間に合うようにしなね」
呆れたように手を振る志保に頷いて、わたしは3組の教室へと向かった。
そっと後ろの扉から中を見てみる。
由良くんの席は、真ん中の方だった気がする。
由良くんの姿を探していると、教卓のほうで男女の大きな笑い声がした。
「あ」
その集団の中には、目を細めて笑う由良くんの姿もあって。
久しぶりに見た由良くんの笑顔に、心臓がキュッと締め付けられる。
……わたしにはあんな笑顔見せてくれないな。

