…全くもってしんちゃんの言っていることが理解出来ない。


反則って何が?

そんな顔ってどんな顔?


私はママに教わったことを実行しただけ。


前にママに教えてもらったことがあるんだよね。


「快斗や新也が機嫌が悪くなったり、拗ねちゃったりしたら、上目遣いに大好きって言えば、機嫌なおるわよ、絶対。」


って。


私が一人考えこんでいると、突然左腕を引っ張られた。


「…お兄ちゃん?どうしたの?」

「い、いや何でもない…」


そう言って、プイっとそっぽを向いてしまうお兄ちゃん。


…これは…拗ねているのか…?

もう…やっとしんちゃんの機嫌が直ったのに…

私、疲れたよ…


私はピョンっと椅子を飛び降りてトコトコと享にぃの元へ行く。


「享にぃ…」


今度は享にぃの服の袖をくいくいと引っ張る。