もう一人、黒髪を腰の辺りまで伸ばしているのが、しんちゃんの幼なじみの山下 唯 (やました ゆい)ちゃん。


綾乃ちゃんに比べて、少し大人っぽい印象で、綺麗という言葉がよく当てはまる。


二人とも私が心を許していて大好きな“みんな”の一人。

「…あのね、きょうちゃんとゆっくんの夢見たの…」

「「…!」」


私の言葉にさっと顔色を変えた綾乃ちゃんと唯ちゃん。


そんな二人にふふっと笑って続ける。


「…そんな顔することないよ。“あの時”よりずっと昔の夢だったから。二人とも笑ってた…。懐かしい…」


まだまだ闇を知らなかった無垢なあの頃。

本当に幸せだった。




“あの頃に戻りたい”




何度そう願ったことか。


戻れないと分かっていても、願わずにはいられないの。


…久しぶりに見たな、きょうちゃんとゆっくんが笑ってる夢。