茉依side♬


お昼休みの出来事を教室の隅で見ていた私達。


「…はあ。とりあえずさっきの梨那の笑顔を見た男子は、全員梨那のことが好きになったね…」


ため息をつきながら、やれやれといった表情の凜。


分かるよ、その気持ち。


梨那は天才的な頭脳を持っているくせに、恋愛が絡むと、これでもかってほど鈍くなる。


自分の容姿には無自覚だし、自分に好意を寄せる男子がいるなんて、つゆほども思っていない。


だからこそ、一人にするのは危険なんだ。


もちろん、私達が梨那と常に行動するのは、“アレ”の二の舞にならないように、梨那の家族から直々に頼まれてるっていうのもあるけど。


まあ、梨那は強いから、よっぽどのことがない限り返り討ちにしちゃうだろうけど、過去のことについて触れられれば、梨那は弱くなってしまう。