少し遠慮気味に聞くあゆみちゃんに微笑み返す。


「いいよ、私に解ける問題なら教えるよ。」

「ほんとに?ありがとう!」


そう言って顔を綻ばせるあゆみちゃんは、小動物みたいで可愛い。


「クスッ…」


私も思わず笑みが溢れた。


すると、あゆみちゃんも、さっきからこちらを見ていたクラスメイトも目を見開くと同時に、途端に真っ赤になった。


…ん?

なんだこれは…

もしや風邪が流行っていたのか…?

でも、風邪が流行るのって冬だよね?


今はもうすぐ梅雨が終わる頃の6月下旬。


「……梨那、行くぞ。」

「あ、優斗くん。」


この状況を理解出来なくて頭を捻っているところで、優斗くん登場。


あ、そうじゃん、優斗くんに聞いてみればいいんだ。


「ねえ、優斗くん。私が少し笑っただけなのに、みんな目を見開いて顔が赤くなったまま動かないんだけど、なんで?」