「は、はい…。ここの問題が分からなくて…。教えてもらえないでしょうか…?」
おどおどと話す前の席の子、もとい三橋 あゆみ (みつはし あゆみ) ちゃん。
あゆみちゃんが指さしたのは、先ほどの数学の授業の最後にやった応用問題。
ああ、これね。
私にとっては楽勝だったけど、一般的には、この問題が解けたら、日本の難関大学に合格出来るレベルとされている。
普通の学校はここまでやらないけど、桜川高校は偏差値70。
私が前に通っていた白百合女子も、偏差値68だったから、この辺りの高校では一番偏差値が高い。
「これはね、ここをこうして……」
順序を立てて一から丁寧に説明する。
「わあ、すごい…!分かりやすい!」
問題が解けたあゆみちゃんは、目をキラキラさせて私の方を見てくる。
「梨那ちゃんって、すごく頭いいんだね!今度から分からないところがあったらまた聞いていいかな…?」