そんなカードを持っている私は何者かって?
ふふっ、秘密よ、ひ・み・つ。
女は秘密がある方がいいっていうしね。
案の定、ブラックカードを渡された店員さんは驚いている。
「わ、分かりました…」
「あ、あと一つお願いしたいことがあるのですけど、よろしいでしょうか?」
私は、明らかに動揺している店員さんに、丁寧に話しかける。
「は、はい…。何でしょうか…?」
…この反応は、私が相当な金持ちだと分かったからなのか。
そう思うと、少し複雑な気分になったけど、私は構わず続けた。
「石にイニシャルを掘っていただきたいのです。藍色の方にはS.K、青色の方にはK.Kと。担当の方に宮川 梨那、と私の名前を伝えれば分かるはずですので。」
「は、はい、宮川 梨那様ですね…。かしこまりました。少々お待ち下さい…」
店員さんはそう言って、風の如くお店の内側に消えていった。



