「…聞くことしかしてないけど、それでも少しは役になったのならよかった。」


ギュッと梨那を抱きしめる。


「少しなんかじゃないよっ……。それに、優斗くんはいてくれるだけで、安心して、心に安らぎを与えてくれるんだよっ……」


…そんなの、俺も同じだよ、梨那。


お前がいてくれる横にいてくれるだけで。


それだけで、何かしてくれなくても、俺にとっては最大級の幸せだよ…


「…俺も。俺も梨那がいてくれるだけで幸せ。だから、もうどこかに行こうなんて思うなよ?」


俺はさらりと梨那の綺麗な栗色の髪を撫でる。


「うん…どこにも行かないよ……。私、気づいたの……。きょうちゃん達の罪滅ぼし、とか思ってたけど、それはただ単に逃げていただけだったんだって……」


梨那はそこまで言って、今までにないくらい真っ直ぐに俺を見つめてくる。