梨那side♬


5年前の7月30日……


私はこの日、茉依達とお菓子作りを楽しんでいた。


「わ〜、さすが梨那、すごい器用だね!」


私の手先を見て、まなが関心したように目を輝かせる。


「そんなことないよ。人並みだって。」

「いや…梨那、それは私のを見てから言った方がいいって…」


そう言われて凜ちゃんの手元を見ると、形が少々いびつだった。


でも、気にするほどでもない。


「確かに形が少しいびつ…「梨那、いる!?」


私の言葉を遮るように、息を切らしたママがリビングに入ってきた。


「ママ?そんなに焦って何かあった…?」


どことなく落ち着きのないママに、何かよくないことがあったのではないか、と私の勘が働く。


「梨那、とりあえず出かけるから早く準備して!!凜ちゃん達も!説明は車の中でするわ!!」