そう言う先輩は、また悲しそうな顔をしていた。
そりゃそうだよな。
梨那と仲良くしていたのに、梨那のことを何一つ知らなかった先輩。
おまけに、自分の実の兄がどうして亡くなったのかも知らない、と言っていた。
「…君たちにここへ来てもらったのはね、今の話をしたかったのもあったけど、渡したいものと、お願いしたいことがあったからなんだ。特に、優斗くんに。」
今までずっと黙っていた梨那のお父様が話し始めた。
そういえば、須藤も同じことを言っていた。
…って、特に俺にって、どういうことだ……?
梨那のお父様の方を見ると、真剣な眼差しでこちらを見ていた。
「……っ!俺に、お願いしたいことですか………?」
「…ああ、その前に梨那から君たちへ、手紙がある。まずはそれを読んでみてほしい。」



