「……なあ、それ、ほんとかよ………?」




聞き間違いであってほしい、という俺のほんのわずかな望みは、一瞬にして消え失せた。




『…ああ。だけど、それだけじゃない。とにかく、あんたには山崎と一緒に梨那の家に来てほしいんだ。そこで聞いてもらいたいことと、見せたいものがある。』


そう言う須藤の声は、さっきの焦っていた声とは違い、至って真剣なものだった。


「……分かった。」


俺はどこか八つ当たりしたい衝動をグッと堪えて返事を返した。


『じゃあ、後20分で車で迎えに行くから。』


それだけ言って電話は切られてしまった。




……くそっ!!


こうなるかもしれないことくらい、分かってたのにっ………!


あの日、最後に振り返らなかった梨那の様子が変だったことくらい、気づいていたのに………!